九尾葛葉『おぅおはようじゃ、今日は早いのぅ。』

おはようと、返して昨夜の自分の様子を話す。

九尾葛葉『朝からご苦労な事じゃな。余り無理するでないぞ?』

大丈夫だと笑いながら朝の日向ぼっこしていた狐さんと別れる。
戦闘時の苛烈さを微塵も感じさせず微睡んでいた彼女から離れ、歩いていると森から出てくる姿があった。

片羽「気づいたら朝か…まぁ相談所にも誰も来ないしいいんだけどね。」

ひとりごちていた彼に挨拶をするとこちらに気付き挨拶を返してくれた。

片羽「おはよう。そうだね、万にひとつ来てくれた人のために戻るとしよう。団長?いや、見てないよ。それじゃ」

最近は相談所にも人が来てるんじゃないかなと思いつつ別れる。
人造巫女…常々自らを弱者と自嘲しているが、
生き残る為手段を選ばない思考はある意味一番厄介なものだよなと考えていると、騒がしい声が聞こえてくる。

ペーチョ「今日も怪鳥ペーチョが朝のお知らせだ!お、おはようだ!良い朝だな!」

朝から元気な鳥だ、
だが何より警戒が必要なのは彼なのかなと思う。
創造神云々ではない、相対して無事に済まないであろうその危険性、仲間になんて事をと思うが癖なのだから仕方ない。

ペーチョ「夜中から起きてた?俺はただの怪鳥だから夜更かしなん
ないぞ!さて、そろそろ腹が減ったな!食堂に行くぞ!」

騒ぎながら食堂に向かう怪鳥を見送る、そういえば彼がどこに居るか聞くのを忘れていた。
まぁいいか。
暫く歩いていると、海から戻ってきたのか体が濡れている彼と会った。

リョウマ「今日も大漁大漁!早いとこ兄貴の所に持っていかねぇとな!」

おはよう。
声を掛けてその手に持っているマグロ?に目線を動かすと、彼は嬉しそうにその手を更に挙げて魚を見せてくれた。

リョウマ「よぉ!ちょっと潜ってたらでかいの見つけてな!籠にも他のがいるから兄貴のとこに持っていって美味いもん作って貰おうぜ!
ん?大丈夫大丈夫!これくらいなら一人で持っていけるからさ!んじゃ、また後でな!」

器用にマグロ?と籠を持って食堂に向かって行く彼を見送る。
海のフィールドで真価を発揮するであろう彼の能力は凄まじいであろう。
どう凌ぐか…海での戦いは変化をすればできるが、圧倒的に経験が少ない…
そうだ人を捜していたのだ、それを思いだし足を速める。
拠点に戻ろうと足を進めていると果実をかじりながら草むらに座っている狩人と目が合った。

『…おはー。果実食う?』

言ったと同時に果実を放り投げてきた。
呪いで女性に変貌した狩人、彼女…彼もまたフィールド特化した戦闘能力を持っている、耐久を捨てた当てて逃げる戦法…対抗策はあるのだろうが、点ではなく面での範囲攻撃が必要だろうか。

『あー…ぼたん鍋食いたい…食いたくない?どうにかして狩れないかなーあいつ…』

今の自分等では厳しいのではと言うと、獣化すればワンチャン…?とか言っていた。
彼の本気を見たことはないが、さぞ対処に面倒になりそうだ、相手にするのは御免被りたい。

『さぁーて、おっさんはそろそろ風呂に行くかなー。また後でなー』

気づくと彼は髪を掻きながら温泉に向かっていたようだ。
果実を食べながら歩いていると、ようやく捜していた人物と会えた。

あるかー「………」

何故かベンチで横たわっている。なんでだよ………とりあえず声を掛けるとこちらを向いた、寝てはいなかったらしい。

あるかー「………あー?おはよう…どうした?」

昨夜の王様ゲームで暴れて解れていた上着を彼が忘れていったので、修繕して渡すつもりだったことを伝える。

あるかー「そういえば忘れてたっけか…ありがとなー」

嫉妬関連がないと彼は至って普通の青年に見える。
その実、高名な吸血鬼なのだが…
九尾葛葉と幾度と模擬戦を行い、着々とその差を詰めているかと思ったが、最近は思うところがあるらしく、以前のような積極さは成りを潜めているようだ。
シュルクや師匠も人を惹き付けるという点では頭1つ抜けていると思うが、個人的な事を言わせてもらえば彼もそうなのではないかと思う、良くも悪くも彼は先の二人と性質が違いすぎるが、まぁ彼自身誰かを率いてどうしたいと思っているわけではないだろうから言わないが。

あるかー「ふわぁ…どうしてこんな所で寝てたんだっけかな」

こちらが聞きたいぐらいである。

あるかー「まぁいいか、さぁて飯食ったらちょっくら用事でも済ませるかな。ん?いや、ちょっとな…」

最近の彼は焦っているのか、またはどこかなにかを終わらせたい風に感じている。
それが何かを聞けるほど自分も彼の事は知らないので、そっとしておいた。どうか、後悔のない道を選んで欲しい。

用事も終わり拠点に戻る途中、最近拠点にやってきたと言う少女に出会った。

マキ『やっはろ〜、えっと…ラッドさんですよね!おはようございますにゃ』

何とも話し方に特徴のある子だなと思う、初見にタックルしたのは申し訳ないと思った。
おはようと返すとニコニコ笑いながら再度おはようございますにゃと返してくれた。

マキ『え〜と、ラッドさんお願いがありまして……』

おや?なんだろうか。

マキ『食堂はどこですかにゃ!!』

なんでも、起きて食堂に向かう途中にいつの間にか外に出てここまで来てしまったらしい。
反対側だねと言ったらショックを受けていた。
一緒に行くかと提案したら凄い勢いで頷いている、それでは行こうかと促し歩いていく。

マキ『ラッドさんはペンギンとか女の人とかに変わるなんて凄いにゃ。でも早く元の姿に戻れるといいね!』

戻る途中、彼女がふと言ってきた、会話を振ってくれたのだろう、以前自分から話した事なので特に思う所はなく、そうだねと返す。


一時的に戻れるとは言え、ステータスの低下、忍術の封印等、未だに呪いはこの体を締め付けている。
戻りたい……いや戻らなければならない…このボロボロの世界でありふれた悲劇を止めることもできない、救いを求める手に自分の手が届かない。
救えない自分に一体何の価値があるのだろうか、救えなければ俺はいつまでも……




■■■『………………た…………て……』




マキ『ラッドさん…?』

はっ…!気づくと彼女に肩をたたかれて呼ばれていた。
目の前には拠点の入り口、時間はもうそろそろ正午に回るだろう。
何でもないと返し、彼は彼女を引き連れて食堂に向かう。
さて、今日のお昼はなんだろう。
彼女と道中そんな話をしながら歩いて行く。



ラッド「午後からは何しましょうかッスねー。」

焦っても仕方ない、さて、今日も1日が始まったな。


To be continued……

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます