最終更新:ID:XhugpT15Yg 2017年07月22日(土) 17:27:37履歴
地上に雨が降り注ぐ。ザーザーと。あの日を再現するかのように。あの日、自分は────
大切な人を喪った
大切な人と出逢った
あの大きな手でもう私を撫でてはくれない
その小さな手は俺の血塗れの手を握ってくれた
その顔はもう太陽のような笑みを浮かべることはない
いつも陽だまりのような笑顔を見せてくれた
温もりを喪った躰は私を抱きしめてくれることは無く
純粋で真っ直ぐな言葉が俺に答えをくれて
暖かき陽当たる場所は血の海となった
そこは疲れた翼を休める止り木となった
憎悪の焔が己を焦がす
優しき光が己を照らす
だから血に染まることにした
だから人を殺すことをやめた
だけどそれも今日までだ
だけど今だけはそれを破ろう
「「これで最後にしよう」」
焔を纏った刃と重力を纏った刃がぶつかり合う。
一合
内の想いを刃に乗せて
二合
哀しみと苦しみを吐き出して
三合
己が憎悪をぶつけ合う。
幾度もぶつかり幾度も叫び幾度も相手を傷付ける。──これは復讐者達の鎮魂歌
幾度ぶつかり合っただろうか。幾度相手の返り血を受けただろうか。そんなことはすでにわからなくなるほど殺し合う。
お互いすでに満身創痍。周囲は血肉で赤黒く染まっては雨でまた元の色へと戻っていく。
耳はもう聞こえんし、目は霞む。
左腕と右足はもがれて体のいたるところが焼かれるは抉られたりしとるな。もう自分は助からん。
けれどな………
「お前だけは絶対に!!」
──ここで殺すと決めてるんや。
たった一点に重力場を集中させる。その力を10倍…20倍……数百、数千倍へと上げていき、終に到達するは全てを飲み込む黒き妖星─ブラックホール─。
「これが俺とお前の墓穴や。大人しく地獄に落ちてまえ」
魂の貯蓄はこれに耐え切れるほど残ってない。……もう立ってるだけで限界。
それにこれに一緒に呑まれても復讐は果たされる。なら呑まれてもいいかな。
────そんなわけないじゃない。
「約束したのよ。また一緒に旅をするって!!」
妖星に抗うは魂喰らう破滅の炎。あらゆるものを壊す災禍の焔。
貯蓄していた魂を全て鎧に喰らわせ、妖星の力に抗う。
ぶつかり合った闇と光。拮抗していたのは僅かな時間。闇は光を喰らいて、周囲のものもまた喰らおうと力を奮う。
だがその僅かな時間が奇跡を生みだす。ブラックホールにより空間は捻じ曲げられ、歪みができる。その歪みを焔は壊し、世界に孔が空く。
二人はブラックホールに引き寄せられてその孔へと落ちていく。
ブラックホールによる吸引が終わったその場所には二人の姿も孔も無くなっていた。
世界の狭間。そこに黒い鎧が揺蕩っていた。ただただ流れているだけだった。
んっ……私、生き、てる?……生き残れたんだ。
あれ……私、鎧になってる。
そっか。生き残れたんじゃなくて私、幽霊になっちゃったんだ。でも私の意識は残ってる。
だからどれだけかかっても帰るんだ。みんなの元に。
この鎧を動かせれないけれどもいつか必ず、あの場所に!
……仇は取ったで。イリヤ、ジロー、クロードのおっさん。
まったく似合わんことしたせいでこないなったわ。
ファミリーのみんなにも迷惑かけてもうたし……あや………ら…………な…………
…………………助けなきゃ。私のマスターを
何はともあれ、彼と彼女の物語はここで締められる。
彼はこの後、とある世界に力を貸すことになるのだがそれはまた別のお話
大切な人を喪った
大切な人と出逢った
あの大きな手でもう私を撫でてはくれない
その小さな手は俺の血塗れの手を握ってくれた
その顔はもう太陽のような笑みを浮かべることはない
いつも陽だまりのような笑顔を見せてくれた
温もりを喪った躰は私を抱きしめてくれることは無く
純粋で真っ直ぐな言葉が俺に答えをくれて
暖かき陽当たる場所は血の海となった
そこは疲れた翼を休める止り木となった
憎悪の焔が己を焦がす
優しき光が己を照らす
だから血に染まることにした
だから人を殺すことをやめた
だけどそれも今日までだ
だけど今だけはそれを破ろう
「「これで最後にしよう」」
焔を纏った刃と重力を纏った刃がぶつかり合う。
一合
内の想いを刃に乗せて
二合
哀しみと苦しみを吐き出して
三合
己が憎悪をぶつけ合う。
幾度もぶつかり幾度も叫び幾度も相手を傷付ける。──これは復讐者達の鎮魂歌
幾度ぶつかり合っただろうか。幾度相手の返り血を受けただろうか。そんなことはすでにわからなくなるほど殺し合う。
お互いすでに満身創痍。周囲は血肉で赤黒く染まっては雨でまた元の色へと戻っていく。
耳はもう聞こえんし、目は霞む。
左腕と右足はもがれて体のいたるところが焼かれるは抉られたりしとるな。もう自分は助からん。
けれどな………
「お前だけは絶対に!!」
──ここで殺すと決めてるんや。
たった一点に重力場を集中させる。その力を10倍…20倍……数百、数千倍へと上げていき、終に到達するは全てを飲み込む黒き妖星─ブラックホール─。
「これが俺とお前の墓穴や。大人しく地獄に落ちてまえ」
魂の貯蓄はこれに耐え切れるほど残ってない。……もう立ってるだけで限界。
それにこれに一緒に呑まれても復讐は果たされる。なら呑まれてもいいかな。
────そんなわけないじゃない。
「約束したのよ。また一緒に旅をするって!!」
妖星に抗うは魂喰らう破滅の炎。あらゆるものを壊す災禍の焔。
貯蓄していた魂を全て鎧に喰らわせ、妖星の力に抗う。
ぶつかり合った闇と光。拮抗していたのは僅かな時間。闇は光を喰らいて、周囲のものもまた喰らおうと力を奮う。
だがその僅かな時間が奇跡を生みだす。ブラックホールにより空間は捻じ曲げられ、歪みができる。その歪みを焔は壊し、世界に孔が空く。
二人はブラックホールに引き寄せられてその孔へと落ちていく。
ブラックホールによる吸引が終わったその場所には二人の姿も孔も無くなっていた。
世界の狭間。そこに黒い鎧が揺蕩っていた。ただただ流れているだけだった。
んっ……私、生き、てる?……生き残れたんだ。
あれ……私、鎧になってる。
そっか。生き残れたんじゃなくて私、幽霊になっちゃったんだ。でも私の意識は残ってる。
だからどれだけかかっても帰るんだ。みんなの元に。
この鎧を動かせれないけれどもいつか必ず、あの場所に!
……仇は取ったで。イリヤ、ジロー、クロードのおっさん。
まったく似合わんことしたせいでこないなったわ。
ファミリーのみんなにも迷惑かけてもうたし……あや………ら…………な…………
…………………助けなきゃ。私のマスターを
何はともあれ、彼と彼女の物語はここで締められる。
彼はこの後、とある世界に力を貸すことになるのだがそれはまた別のお話
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