【R-18】シュテルとシュルクは遭難した島で貴方たちと生活するようです【安価・あんこ】

時は世紀末…
人類と神による戦争により、人類の多くは死に絶えた世界。
その世界で人類最後の楽園と呼ばれる場所があった。
その名は『セントルイス』
多くの上流階級と呼ばれる人間たちがこの場所になだれ込み瞬く間に発展した土地。
選ばれたもの以外は立ち入ることのできない人類最後の楽園

『ウオオオオオオオオオオオオオオ！！！！！！』

その楽園で人気の施設コロッセオは今日も人々の熱気に包まれていた。
闘技場には2つの姿があった
一つは観客の歓声に雄たけびを上げ応える人間
もう一つは血だらけで平伏し、息絶え絶えのリザードマンの姿

「くたばれ！亜人が！！」
「英雄様の前で調子乗ってんじゃねぇよ！！」
「怪物が、さっさとくたばりやがれ！！」

係の者に運び出された怪物に罵声や物を投げつけていく観客。
だがそのリザードマンはその罵声に目もくれず、俯きながら闘技場を後にしていく。

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【闘技場・コロッセオ　地下牢】

「しっかし、コイツ本当に大人しいな、何も抵抗しやしねぇ」

怪物と呼ばれたリザードマンは両腕両足に枷を付けられ、体中に鎖が巻かれる。

「ここに来たときは多少暴れたりしたが、今じゃそんなそぶりも見せねぇ」
「それどころか、本番じゃ黙ってヒール役に徹してくれてるしな！これが人々が恐れる怪物の姿ってかよ」
「おーい、怪物く〜ん？？君にはプライド無いんでちゅかぁ〜？？？ギャハハハハハ！」

鎖に縛られたリザードマンに向かい唾を吐く、しかし吐かれてもなお彼は反応するそぶりを見せない

「ちょっと下品ねぇ〜、こう見えても私の大事な商品なのよぉ〜」

奥からナヨナヨとした腰つきで厚化粧をした男が現れる。

「ナ、ナルサッス卿…！お疲れ様です」

ナルサッス卿、このコロッセオの管理者であり、このリザードマンを倒し連れて来た人物。
彼も神に選ばれた【ダイス】を使いし人間である。

「牢を開けて頂戴な」
「し、しかし…大人しいとはいえ、あの怪物の牢に入れるのは…」
「いいからあけて頂戴、彼は私に抵抗なんてしないわ」

そう諭し、怪物がいる牢の中に入る。
それに気が付いたのか今まで俯いていた怪物はナルサッス卿を見上げる。

「今日の試合、良いやられっぷりだったわよぉ〜、観客皆大盛り上がり！」
「………………」
「あら？反応なしかしら？寂しいわねぇ〜、抵抗してくれた方が可愛げあるのに〜」

しかしリザードマンは一向に反応を示さなかった。

「だけど貴方がやられ役やってくれることでこの街にいる人間は皆大助かりなのよぉ〜」
「……………………」
「人間にはね、闘争心と優越感が必要なの。特にこのご時世、創造神によって人間の尊厳を奪われた時代。貴方のような悪役は誰もが待っているの」
「いや…別に今の時代じゃなくても、どんな場所でどんな状況であれ、人間はそれを求めてるのよ」
「……………………」
「でもそれには『見世物』が必要なの、ちゃんと黙ってやられてくれる『見世物』がね」
「そう……貴方が無様に地に平伏す姿こそが皆を、人々を元気にしてくれるの」
「だから、これからも無様な姿を見せて頂戴ね、か・い・ぶ・つ・ちゃ・ん」

にこやかに凶器のような笑顔で微笑みかけるナルサッス卿
その姿に何も反応を見せなかったリザードマンが怒りの形相で彼を睨む。

「あら？何かしら？主人に向かってその穢らわしい目は！」
そういって手に持って居たメイスでリザードマンの頭を思いっきり殴りつける
殴られた後からダラダラと血が滴り落ちる

「うわっ！ナルサッス卿、やりすぎです！」
「大丈夫よ、どうせこれぐらいの傷はすぐに治るんですから」
そう言ってもう一発、さっきとは反対方向の頭をメイスで殴打した。
さきほど睨みつけていた目は既に何も見ておらず至った抵抗も見せず、下に俯く。

「ホント、初めて会った10年前とは打って変わって、プライドも牙も抜け落ちちゃったわね〜キャハハハハ」
「いい？私は神に選ばれた人間なの、今の地位も力もこのコロッセオも全てはこのダイスによって手に入れた」
そういって彼は懐からダイスを取り出し、リザードマンに見せる
「私はそれだけの価値がある人間。でも貴方は今、天にも神にも人にも見放された可哀想な生き物なのよね〜。それをこの私が拾ってあげたんだから感謝の一つもしてほしいわね〜」
「だから未来永劫…ここで人間の為　主人の為に働いて頂戴ね、貴方は私の奴隷なんですから…それを誇りに生きていきなさい。怪物ちゃん」

そう言いナルサッス卿はそのまま牢を出て、係の者達と一緒に怪物の牢を後にした

「…………………死ネルカヨ。コンナ場所デ」
「俺ノ故郷ニ…帰ルマデハ…」

そう呟き、怪物と呼ばれるリザードマンは静かに目を閉じた。