「喚くな、静かに死ね」
そう言ってから踏みつけている虫の化物に数発撃ち込んで止めを刺す。
最後の一匹を片付けてから周囲を見渡すと、自分を含めて数百人しか立っていなかった。
出動した時は数千人はいたのに次々と殺され、たった数百人しか残らなかったのだ。

ため息を吐いてから合流するために仲間の元に向かうが、その途中で躓いて、転びかける。
咄嗟に躓いた死体に目を向けると、無惨にも顔は齧られ、腹は引き裂かれている死体だった。
その死体に既視感を感じ、ドッグタグを確認する。そこに書かれていたのは、仲のいい兵士の名前だった。
若いのに軍人を志し、怯えながらも化物共と戦っていた勇敢な青年だった。俺とは違い他者を思いやれる奴だった。
家族や恋人がいると言っていた、大切な人たちがいる国を守るために軍人になったと言っていた。
ドッグタグを掴む手に力が籠る、顔の筋肉が痙攣するのを感じる。深呼吸をして怒りを収めると
ドッグタグを回収して再び仲間の元に歩き出した。

兵士が死ぬのはしょうがないことだ、どんな名将でも一切の被害を出さずに勝利を収める事は出来ない。
人間同士なら、まだ納得できたのだろう、怒りは覚えても納得は出来た筈だ。
だが、人間に対して自分が血を流す価値がないとでも言うように化物を操り人間を狩る
あの創造神(クソ)を許すことは到底できそうにない。許せないのならば、俺がやるべき事は一つ…

それから暫くの間、俺は化物を殺し続けた。神が怒り、殺しに来ないかという期待を持って挑発的な事をし続けた。
だが全て徒労に終わった。どうやら神にとっては化物の死も、人間からの挑発もどうでもいいらしい。
ある日、ノアの箱舟というスワンボートに乗らないかという話が来た、友好的な亜人や生き残った人類が乗る船らしい。
俺はその誘いに乗った。創造神(クソ)は俺達を絶滅させると言っていた。なら生き延びた者を必ず殺しに来るはずだ
化物では殺せない奴がいれば、必ず創造神(クソ)が来る筈だ。その時にただの人間に敗北する屈辱を味わわせる。
これはただの自己満足でもあり、創造神(クソ)のせいで死んでいった者達への俺なりの慰霊だ。
「殺す、必ず殺す…創造神(クソ)も、その味方も、一片の情け容赦もなく鏖殺してやる」

このページへのコメント

作成お疲れ様でした。
ええ、何れこの島にも来るのでしょうね。
私としては、出来るだけ遅ければと思いますが。

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Posted by クロマツ 2016年09月13日(火) 08:36:50 返信

作成お疲れ様でした!
流石にあれは神というよりも勝手に期待して外れたからと怒っている子供よりもたちが悪い存在あですからね
人が呼び寄せたとはいえ、ね

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Posted by ゾディー 2016年09月13日(火) 08:24:37 返信

憎悪、まあ、あの神様相手なら抱えてるやつたくさんいるんだろうなぁ。
人間が勝手に呼んだんだけどなぁ。

作成お疲れ様でした。

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Posted by 安藤竜 2016年09月13日(火) 06:59:52 返信

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