「なんてな?」

 男はそう笑って呟いた
男は鷲の部族の族長をしている男だ
年の頃を40……鷲族では一番脂が乗っている時期といえる

「まぁ、しかしやりすぎたか」
傲慢に男は笑う……7年間
そう、7年間「本来の戦い方を禁じ、真っ当に戦って創造神側と交渉を続けた……交渉の振りをして情報を集めた」
結果、鷲族は集中して狙われ数を減らし、今に至る

(さて、あの情報か?この情報か?ソレともこれか?ああ、ばらしてまわったら楽しいだろうなぁ)
男の本質は愉快犯である、故にこれも余裕ぶった彼らを最初は笑うネタを集める為に初めた事だ
……まぁ、人間同士の戦争に介入した事は自分達の空を守る為だし、創造神召還に反対したのは
【胡散くさすぎる】からであったが……

 集められた情報は余りにも悲劇に満ちていた
だから愉快犯で外道でも、何の罪もない女の子を泣かせる悪魔ではない男は
……悲劇を蹴りとばす為に行動を始め、今に至る



「まぁそれで悲劇を真っ先に受ける側になったわけだが」
苦笑しつつ頭の中でやった事、これからやるべき事を組み立てる

 まず、どう考えても守れない戦えない奴らを切り捨てる
これを我らの神に伝えた所、神はそれに殉ずるそうだ……あのお優しい神なら仕方ない
ホルス達若い翼は逆方向に逃がす……運が良ければ生き残るだろう
ああ、そうなったらある意味での戦力の一つに数えていた巫女様が離反したのが痛かったな
……愛する男の為なら仕方ないけどさ……

 しかしホルスの奴やるべき事はやってやがった
思わず笑みをこぼす、ああ、ガキの頃に両親を失って以来、殺す気で戦場に蹴りこんでいたら
あの未熟な腕で7年間生き残りやがった
部族に染まらなかった気質といい、【何か持ってやがる】
それが何かわからねぇが、【神様と巫女様が憑いた刀】持ってれば目覚めるまではどうにでもなるだろう



 だから俺が、俺らがやる事は決っている

 宴が始まる、この里での最後の宴だ
喰らい狂って……戦えない者を犠牲にして「奴らを正面から打ち抜く」
俺達の誇りを見せる

 さぁさまずは宴だ、車座になって騒ごう、美男美女に酒を注がして笑おう
中心に火縄銃を吊るして、火をつけて回そう、景気づけだ
避けず、正面から来る弾丸を受けて笑おう……おや、今回は豊がうけたか
狂え狂え、所詮戦など、故郷を大事な物も者もすべて壊して行う戦など正気では出来ぬ

 狂って舞って……全て打ち捨てれば壊せぬ物などあろうか?



 鷲族の最後の戦いと言われるこの戦い
「創造神側の徹底した情報封鎖」により誰にも伝わる事のなかった戦
「鷲族を徹底的に追う事となり、結果他の各者達が潜みやすくなった」これは……誰にも伝えられない狂気

 作戦参加神のうち8割が戻らなかった狂気の戦の前日であった

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます