隔離対象:”○○○のコケ樹人”

危険度: A+++

取扱方:
対象Xは必要ある際に密閉出来る隔離収容ユニットに留置する事とします。
収容ユニットには日に一回の(もし必要ありと考えるならば更に)リモート除染が行われます。
対象Xには水と固形土を、空気チューブを通して年に一回供給する事とします。
対象Xとのやり取りは全てリモートマイク越しに為されるものとします。

監視窓は防弾・防呪加工を施したガラスで構築されます。
収容房への如何なる損傷も、流体金属製完全気密レベルA防護装備を身に付けた職員により即座に修理して下さい。
対象Xの拡大が見られた場合、最低限の部分(凡そ1グラム)を残して焼却処分が為されます。

対象Xは、1950年の事件への”樹人に依る報復行為”として半島一つを食い潰した後に、樹人種族との講和交渉上の成果として確保され、以後は専用隔離施設に収容されています。

概要:
対象Xは未知の種類のコケの樹人です。
現存する最も古いコケの樹人であり、数少ない”寿命を持たない植物の樹人”です。
1グラム程度の重さで単純な会話が可能な知性を持ち(知識10相当)、構成するコケの量が増える事で正比例してその演算能力・知性は拡大強化されます。
対象Xは金属・ガラス以外の凡そ全物質を栄養とする事が出来、同様の激甚な捕食・変質能力を持つ胞子を吐き出します。
胞子が諸物質を捕食・変質させて育ったコケは、対象Xの拡張部と考えられます。
対象Xは胞子及びコケを距離に依らず、離れていても制御する事が出来ます。この制御は胞子及びコケが300度以上で殺菌されないかぎり無期限に維持されます。
之により、明らかに指向性を持ったコケの繁茂を行った事例が確認されています。(実験-08)
又、嘗ての実験より、対象Xがコケに触れれば、コケは対象Xの一部となる事が確認されています。
対象Xを分断した場合には片方が対象X,もう片方は只のコケに戻る事が確認されています。
切除せずに対象Xの部分を焼却した場合、最低単位が残っている限り対象Xは健在です。

対象Xは職員との会話に対しては熱心な意欲を表していません。
対象Xは莫大な情報を保持していると考えられますが、其れを聞き出すためであれ、対象Xを拡大させる事は固く禁止されています。
万一接触の必要が有る場合には必ず流体金属製完全気密レベルA防護装備を装着し、退出の際には熱殺菌を行わなければなりません。
又、金属及びガラス以外の物質を持ち込む事は固く禁じられています。

対象Xはしばしば未知の言語による独り言を呟きますが、会話実験により英語、ロシア語、中国語等多くの言語に流暢である事が判明しています。
対象は識字能力がありますが、文字の書かれた物や筆記用具に関する要求は何ら為されていません。

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1991年??月??日付インタビュー

博士:今日は対象X。ここが快適だと良いのですが。

対象X:わるくない。

博士:結構。幾つか質問をしたいのです。正直に答えて下さい。

対象X:うそはつかない。

博士:記録しました。最初に、あなたの名前は?

対象X:”○○○”(未知の言語による単語)のこけじゅじん

博士:”○○○”とは?

対象X:ちめい

博士:それが名前なのですか?

対象X:こたいめいはない

博士:樹人の文化ですか。・・・そうですね。あなたは何故ここに居るか分かりますか?

対象X:とりひき。わかいにひつようだったにんげんがわのせいか

博士:もし可能でしたら、あなたの異常な特質を説明願えますか。

対象X:とくしつはない。じぶんをかこうする、じぶんをかくだいする。じゅじんのきほんのうりょく

博士:・・・ここで一旦止めにしましょう。お時間、ありがとうございました。

・・・備考:樹人の基本能力である”自己加工”と群生型樹人の基本能力である”群の拡大”。
純粋にその強度によって半島一つを苔の塊にしたようだ。、

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20○○年(神の召喚より5年後)追記:担当職員へ

神の侵攻への対応の為、施設維持の余裕は無くなった。
敵対の可能性及び殺害の際の抵抗の危険性を考え、対象Xはこのまま封殺する。
全機能を停止し、収容室への物理ロックの上、○月○日までに全職員は私物を持って退出する事。

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20☓☓年(神の召喚から10年後)追記:私から皆へ。

全樹人への無差別通信の到達を確認。
樹人は人間側に立つとの決定、了解した。
幸い既に専用隔離施は既に封印の上破棄され、施設を食いつぶしても人間を巻き込む恐れは無い。
不味い金属を食わねばならないのにだけは辟易するが。
之より、パンゲアのコケ樹人も対創造神に参戦する。

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