【ケット・シー(妖精猫)】
魂が霊的変化を起こした猫の妖精。
森の数だけ種類がいると言われており、東洋では猫又と呼ばれる種類も居る。
森に生き、森に還る種族として名高い一族。
薬草を扱うウィッチクラフトと呼ばれる魔術形態を得意とし、魔女と呼ばれる人々と契約し使い魔となる者も多く居る。

本項では現在確認されている以下の種について記載する。


【シャーウッド種】
名無しの森とも呼ばれる、イングランドに広がる森に住む妖精猫を指す。
かつてロビンフッドが潜伏したという逸話も有り、弓を趣味とするケット・シーも多い。
また、イングランドという場所柄からアーサー王の伝承に肖ることもしばしば見受けられる。
シャーウッド種の保つ歴史には、かつてケット・シーのコミュニティとして最大級の王国を森に築いていたことがある。
彼らは森の落とし子を王に据えることで優秀な長を得て、王が敷く政治の元で栄華を極めた。
鎖国はせず、隣国にも薬師として国民を派遣するなど人間をはじめ他種族との交流も盛んであったとされる。
その後環境破壊や大気汚染などが進み、森が減少するに連れて国も衰退を始める。
当時の王は国民である妖精猫の未来を憂い、天命を待たずして自ら森へと還る選択を選んだ。
結果として森が死滅していく速度は緩やかになり、残された妖精猫は更に奥へと潜ることで生活圏を存続させた。
しかし根本的な解決にはならず、彼らのコミュニティは縮小を続け、最後には隠れ里と呼ばれるレベルにまでに零落した。更には最盛期よりも格段とマナの薄くなった森に適応するため、彼らは妖精としての霊格を下げるほかなかった。
彼らは想像もしていなかった、創造主の力によって森が再興することなど。

【シャーウッド種・王族】
濃密なマナから生み出される森の落とし子。
通常のケット・シーと異なり、体のすべてがマナによって構成されている。
通常種と比べて非常に霊格の高い存在であり、生まれながらにしてマナを操る技能に長けている。他、存在するだけで植物を活性化させ、森を豊かにする権能を持つ。
しかしその代償として、生まれた森から離れることを許されない存在である。
シャーウッドのマナに最も適応しているため、他所のマナを吸収しにくい。結果、寿命が短くなるという点が挙げられる。
彼らは15歳で成人し、生まれた森と契約を交わすことで森に蓄積された知識を継承する。
森の全てを得る代わり、森の全てを守る守護者となる責務を負う。

【シャーウッド種・ワイルドハント(嵐の王)の伝承】
憤怒、狂乱、絶望に囚われた王が堕ちた姿。
その昔、人間と生存権を賭けて戦った王が成ったとしてシャーウッドの妖精猫の間では語り継がれている。
これまで森へと還った同胞たちを不死の軍勢として喚び出し、怒れる森の武具を身に纏った姿はと敵味方から恐れられた。
堕ちた王は戦後、独り森を彷徨い続けた。かの王は次代が即位することで、ようやく森へと還ることが許された。
これが嵐の王、ワイルドハントと呼ばれるようになったのはその様相がヨーロッパ各地に伝わる死者の軍団のそれに酷似しているためとされる。
 
 

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