はじめてのどんぐりパン
最終更新：ID:L4rLTtlPUQ 2016年09月12日(月) 20:55:34履歴
台所に集まっているのは三人の男女。
「こうして台所が出来、皆様の採集も順調に進んでいます。
という訳で、妖精さんはどんぐりパンに挑戦したいのですよ。」
口火を切ったのは妖精のパン屋さん、フェリス。
この無人島、小麦のパンを作る事を夢に掲げる彼女は、
その第一歩として、どんぐりパンに挑戦する事とし、万全を期する為に手伝いを集めていた。
「其れで呼ばれたのが樹人でどんぐりについて知っていそうな私と」
樹人の翻訳家、クロマツと
「色々手広く手伝ってる自分って訳ッスね？」
パシリのペンギン獣人、ラッドが答える。
「そうなのです。主にクロマツ様には知識を、ラッド様には器用さを補って頂こうと思いまして。
小麦パンへの第一歩のため、手伝って貰えませんか？」
「勿論ッス！頑張るッスよー！」
「ええ、喜んで。幸いどんぐりパンの作り方ならば樹人百科にも載っていますから、
力になれると思いますよフェリスさん。」
同じ島で暮らす仲間の夢のための事であるし、成功すれば自分たちの食生活が豊かになるという実益もある。
二人共素直に頷き、準備を始める。
STEP:1 材料を選ぼう
「という訳で司会進行を努めさせて頂きますクロマツです。
どんぐりパン、或いは縄文クッキーと言われる物は意外と多様。
メインとなるどんぐりっぽい木の実（以下どんぐり）は今回一種類ですが、
”つなぎ”に何を使うかだけでも大きく感じが変わってきます。
�〃寨顱丙２鵑篭�々手に入った謎の鳥の卵）
��肉（今回は猪肉）
��ヤマイモ（それっぽいものが有った）
辺りが今回の候補ですね。今回はどれに挑戦しますか？」
クロマツがフェリスへと問う。
どんぐりパンと言ってもクッキー、或いはハンバーグの様な物も含んでおり、
つなぎに何を選ぶかによって主食にも、おかしにも、おかずにすらなる物なのだ。
「妖精さんの想うパンに一番近いのはきっと� ⇒颪離僖鵑任垢諭�
・・・でも、妖精さんは趣味でパンを焼くだけの人では無くパン屋さん。
皆さんに安定して提供して、食べて欲しいのですよ。
ですから��、ヤマイモに挑戦します。」
フェリスの断固たる決断。
飽く迄ステップと割り切るなら卵でも良い。
でも、今は未だ小麦のパンが遠い以上、当面はどんぐりパンを皆に提供するのだからと。
「分かりました。ではラッドさん、ヤマイモをお願いします。」
「はいッス！」
ラッドが持ってきたのは数本のヤマイモ。今回有るのは之だけだが、
一度自生しているのを見つけた以上、恐らく今後も安定して手に入るだろう。
STEP:2 下ごしらえをしよう
「では、どんぐりの下ごしらえをしましょう。
先ずはどんぐりを一度水に浸してから天日干しにし、皮をむきやすく・・・」
「した物がこれッス！」
「流石ラッドさん、良い準備です。」
「パシリッスからね！このくらいは当然ッス！」
非常に時間のかかる工程なので、今回はラッドが用意した天日干し後の物を使用する。
「そして、この皮を薄皮まで剥いでいく必要が有ります。
地味な作業ですが、頑張りましょう。」
「頑張るッス！」
「頑張ります！」
元気よくラッドとフェリスが答え、三人でちびちび皮を剥き始める。
フェリスは素手で殻を剥ぎ、残りの二人で渋皮を担当する。
・・・小一時間後・・・
「出来ました！ラッド様もクロマツ様もありがとうございます！」
無事皮むきが終わり、フェリスが快哉の声をあげる。
「フェリスさんの頑張り有ってッスよ！
で、これを一時間程煮るんスよねクロマツさん？」
「ええ。その間に此方はヤマイモ（らしきもの。以下ヤマイモ）を摺っておきます。」
・・・更に一時間後・・・
「さて、此処はフェリスさんにお任せとなる部分ですね。
このドングリを砕いて、粉にして下さい。」
ヤマイモ位ならなんとか成ったが、きちんとしたすり鉢も無い現状では、
クロマツやラッドの腕力ではドングリを粉にする等、到底不可能。
全ては、フェリスの腕力に託された。
「ええ！妖精さんにお任せですよ。
よいしょ・・・っと。」
みしり、ばきり、ごりごり。
フェリスの手のひらにドングリを挟み、すり合わせる様に捻るや否や、
ドングリは砕け、粉となって零れ落ちてゆく。
「流石フェリスさんですね。之なら直ぐに終わりそうです。」
「流石ッスね。見事なもんッス。」
二人が感心して眺めている間に、全てのドングリは粉へと成った。
STEP3 調理
「フェリスさんご苦労様でした。
後はヤマイモにドングリ粉を混ぜ、焼くだけです。
・・・本当は蜂蜜なりが有れば良かったのですが、無いものは仕方が有りませんから。」
残念そうに呟く。
ともあれ後は通常の調理過程。クロマツが口を出す事も無い、フェリスの専門だ。
「では、妖精さん頑張りますね！
どんぐりパンまであと一歩です！」
フェリスは気合を入れ直し、調理を始める。
手慣れた、鮮やかで無駄の無い動き。
摺られたヤマイモへとドングリ粉は極自然に混ざっていき、
ラッドが用意した鉄板の上に一口サイズのどんぐりパン生地が並べられて行く
そして何のトラブルも無く、どんぐりパンは焼き上がった
STEP４ 実食
「美味しそうッスね！
あ、水もどうぞっす！」
ラッドが手際よく皿を並べ、水を配膳していき、瞬く間に食卓の準備も整い
「これが、どんぐりパン。
・・・これで、一歩夢に近づけました。
クロマツ様、ラッド様、ありがとうございます。」
喜びも顕に、フェリスは二人の協力者に礼を言う。
作り方もきちんと覚えたし、この作り方なら今後とも安定して作っていけるだろう。
「ええ、御目出度う御座います、フェリスさん。」
「おめでとうッス！」
二人も素直に祝福し、どんぐりパンの完成を喜ぶ。
美味しそうなどんぐりパンを一足先に食べられる事も嬉しいが、
何よりもフェリスの喜びこそが誇らしい。
そして一拍空き、三人の声が重なって
「「「では、頂きます！」」」
このページへのコメント
うわようせいさんつよい
作成お疲れ様でした
妖精さんお手製（すり潰し）どんぐりパン完成ですね
ラッド様とクロマツ様はご協力ありがとうございます
（手のひらですり潰すという発想はなかった！
石臼を作らねば・・・！）
作成お疲れさまでした
どんぐりパン美味そうっすね、己も食べてぇなあ…取り合えず蜂蜜探しますか！
作成お疲れ様でした！
どんぐりパンの完成、これで主食系の物もできていくと嬉しいですね
それにしてもフェリスさんの力はスゴかったッス！
クロマツさんの知識と合わさって美味しいどんぐりパンだったッス！