とある日記帳より一部抜粋

・ある晴れた日
今日から日記をつけるようにアステルとカリンのやつに言われた。
ものを書く練習をしておいて損は無いということらしい。
でも、特別書くこともない。いつも通りアステルとカリンがラブコメをして、シュテルが怒り、ジークがそれを宥め、俺はそれを見ているだけだった。
そう言えば、最近また敵の攻撃が活発になっているらしい。
本音を言うとどうでもいいが、皆が世界を救うと言っているので俺も頑張ろうと思う。

・霧が深かった日
今日は新しい奴が仲間になった。
忍者、と言うらしいが鬱陶しい。色々構ってくるし、猫に包丁持って追いかけられているし、分裂するしペンギンになるしよく分からない。けど、悪いやつじゃないみたいだ。
それと、世界を回っているうちに俺たちに協力してもいいというヤツらも増えてきた。
……本音を言えば、俺たち五人だけいればいいのにな。
こんなことを言うとみんなを困らせてしまうので、黙っていよう。

・豪雨に見舞われた日
アステルとカリンが敵を味方にするって言い出して、それに何人かの仲間が反発していた。
正直うるさい。二人のいうことが間違っているはずが無いんだから、黙って受け入れていればいいのに。
結局、渋々だけど仲間にすることに納得したみたいだ。忍者が説得に駆け回っていた。
ちなみに、双子の天使はアステルにベッタリでカリンがそれをすごい顔してみてた。怖い。
それを見てシュテルも真顔になっていた。怖い。

・珍しく雪が降った日
今日は朝から大忙しだった。なんか偉い連中がこぞって俺達のアジトにやって来たからだ。
しかも女の子ばかり。……アステルがまたやったらしい。
アステルはいい人だが、カリンや天使、盾の女がいるのに女の子にちょっかいかけすぎな気がする。
今度この前仲間になったネバーランドの奴からもらったジャンプを懐に隠しておくよう言ってみよう。
あと、最近友達ができた。吸血鬼の女の子で名前は■■■■、旅をしているらしい。
また遊ぶ約束をした。……少しだけ楽しみである。

・どんよりとした曇り空の日
仲間がどんどん増えている。世界各地から敵を倒すための戦力が集まりつつある。
サーカスも見た。ドラゴンとか色々いた。すごかった。
だけど、それと同時に敵の攻勢が強さを増した。この前は仲が良かった国がひとつ滅んだらしい。
アステルは泣いていた。カリンはそれを黙って見ていた。シュテルは鍛錬に望む時間が増えて、ジークは工房にこもってることが多くなった。
皆が困っているのだから、俺も頑張らなくてはいけない。
そう言えば、最近■■■■の姿を見ない。どこか遠くへ旅をしているのだろうか?
こんな世界だから少しだけ不安だけれど、俺よりずっと強いから大丈夫だろう。
今度は何をして遊ぼうかな。

・(文字が掠れていて読めない)
(文字が滲んでいて読めない)

・雷がたくさん鳴った日
久しぶりの日記になる。
その間にたくさんのことが起こった。■■■■は死んでしまった。俺の目の前で、俺を庇って、ヒュドラにやられて。
皆は俺のせいじゃないって励ましてくれたけど、あれは油断していた俺が悪い。
怒りのままにヒュドラを殺し、その亡骸をジークに武器にしてもらった。
また、たくさんの仲間が死んだ。でも、俺は生きている。俺なんかが生き残ってしまっている。

俺は学んだ。最初から必要最小限しか抱えてなければ、取り零す心配はないんだと。
だから、俺には四人がいればそれでいい。
そう言ったら、アステルやカリンは悲しい顔をしたけれど、それ以上は何も言わなかった。
やっぱり間違ってない、二人が何も言わなかったってことは、これが正しいんだ。そうに違いない。
絶対に守り抜こう。

忍者が何か言いたげな顔をしていたけど、気付かないふりをした。

・よく晴れた日
今日、敵のアジトに乗り込む。
世界はかなり追い込まれていて、俺達もかなりピンチだ。
だけど大丈夫だろう、こちらにはアステルとカリン、シュテルとジークがいる。
俺たち五人がいれば、絶対負けることは無い。

だから、もう少し、後少しだけ待っていてくれ、■■■■。
この身体も限界が近いけれど、この戦いが終われば、君の元へと行けるのだから。

この日記は隠しておこう。
確かラケルとかいうやつに頼めば、決して目のつかない所に送ってくれると言っていた。

そうだ、ついでにあの写真もくっつけておこう。


その日記帳は、いつの間にかその島の書庫に紛れ込んでいた。
司書は首を捻っていたが、この島だからと納得していた。

その背表紙には、1枚の写真が同封されていた。
幸せな顔をして映る、希望の勇者達の姿が。

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