雪と血潮の舞う戦場には二人の少年と少女がぶつかり合っていた
少女は心底この人物に付き合うのが億劫な事を隠さぬ表情をしており
対する少年は心底この戦いが楽しいのか少女に笑いかける

「はぁ…はぁ……しつこい…さっさと死ね」

「あは、あはは…いや、我はまだ死ねぬさ。こんな楽しい戦いをすぐになどやめられるか!」

少女はなんとも悍ましい瘴気を纏い、大太刀を携えるお姫様
少年は輝かしいオーラを纏い、黄金の剣を携える軍神
多くの人々がこの戦いにおいて、魔王と勇者が戦っているのだと錯覚するだろう光景だ

「私はこれっぽっちも楽しくない。……もう終いにする。消えろ…呑みほせ『遠呂智』!」

「そう急かすのは善くないぞ、ダーリャ。我とお主の間柄だとしてもな!我が正義と光明の化身が一柱…『鴉の王』よ、厄を祓う剣と成れ!」


「お二人とも頑張ってくださーい。でも、出来れば共倒れか軍神様が勝利する感じでお願いしますねー」

そんな最後のぶつかり合いを楽しそうに見つめる一人の鴉天狗の少女がいた

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「ガッハァ……っ…この戦闘狂がぁ…」

「グゥ…ゥ……し、失礼だ…ぞ……我は清廉な…騎士の神なのじゃぁ…」

そのぶつかり合いの結果は精魂尽きたように倒れ伏す二人の姿だった
そんな二人に鴉天狗の少女が何かの瓶を両手に持ちながら近づいてくる

「あはは、いつも通り共倒れお疲れ様ですね〜。二人ともウォッカチャージします?」

「うるさい…その口縫合して殺すぞ、鴉天狗……ウォッカは貰う」

「…あややって我のこと嫌いなの?明らかに酒飲めない我への嫌がらせを感じる…」

「いや、貴方ってしょっちゅう私にセクハラしてきてるじゃないですか?そんな、貴方が清廉な騎士の神とか片腹痛いですねー」

「ざまぁないな。というか、お前また戦闘中とかに尻撫でてきただろ?この変態猪め、ぺっ」

寝言でも言ってるのかと蔑みを混ぜた視線を軍神の少年にむける

「いきなり辛辣過ぎぬか?そして、我の扱い低すぎない?あと、あれは手が滑っただけだ他意は無いんじゃ、信じて」

「「今までの言動を試みろ(てください)」」

「ダーリャとあややの言葉が痛い……。はぁ…これでも、昔はオリエントで1〜5を争うほど人気な神だったんじゃけどなぁ…」

「なんだよ、その微妙な幅は…まあ、自業自得だな」

「あはは、人気だったことは私は否定しませんけどね…」
「あっ、そうだダーリヤさん。今日もいい一枚撮れましたけど要ります?」

しょぼくれる軍神の少年を尻目に鴉天狗の少女が何かを思い出したかのように一枚の写真を取り出す

「……それはどっちの意味でだ?」

「ん〜…ダーリヤさんが悶絶する方の意味ですかね?」

「おまっ…!?また、撮ったのか!?」

その言葉に顔を紅潮させるお姫様とムクリと起き上がる軍神の少年

「あ、それあとで貰うぞ、あやや」

「OKですよ〜。軍神様はあとで毟らせてくださいね」

「お前ら私を無視するな!!!!」

お姫様が感情を爆発させ、鴉天狗の少女と軍神の少年に襲いかかり第二ラウンドのゴングが鳴る

「おっと、危ない。軍神様…いえ、素敵な騎士様、私の盾役お願いしますね!」

「はは、望むところじゃ!今これより我はあややの守護騎士じゃ!さあ、ダーリャ来るがいい!」

「お前はチョロすぎるんだよぉぉ!!死ねぇぇ!!!」


そんな、ある日の■■を忘れた日常

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