ーーー…き……おき………

んん……あと…あと1時間……

『起きなさぁぁーーーーーい!!!』

「ぐわぁぁぁ!!!」ガバッ

『やっと起きた!おはよう!何時だと思ってるの!とっくに時間過ぎてるわよ!』

「えぇ……?なんだっけ……今日は修行もないけど……手伝いとかあったっけか……?」目元を擦りながら

『…………………………こんのぉ!おおばかやろうがぁぁ!!』チョークスリーパー

「なしてぇ!?絞まってる!絞まってるからぁ!!」バンバン!

『今日は雛苺と朝から麓の町まで出掛けるって言ってたじゃない!!もうお昼に近いわよ!雛苺ったら怒ることもしないで心配してたんだから!』

「………………やっべ……!ど、ど、ど、どうしよう!?はよ準備しなきゃ!?その前に連絡?おい■!雛苺に伝えておいてくれない?すぐ準備していくからって!!」アタフタ

『……ハァ、あんたはほんとにもう……わかったわ、伝えておくから先に行ってるわよ…あんたもさっさと来ないとダメよ?』ガチャン

「やばいやばい……ん?……俺、あいつに町まで行くこと言ったっけか?………………まぁ雛苺が口滑らしたとかか…それより準備準備!」バタバタ


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『ラッド!!ラッド!!先生!ラッドは!?ラッドは無事なの!?ねぇ!』

〔落ち着け!命に別状はない!骨に何本かヒビが入ったのと、血を流しすぎただけだ……!もう意識もある、2、3日後なら面会も出来るようになる〕

『…………はい……失礼しました……』




「お?よーす。久し振りー」ベッド上

『一週間も寝て少しは体調戻った?もう!簡単な任務だからーって油断するからよ!』

「いやー!変な奴等に襲われてよ。一体だけど変に強くてさー。親父が居なかったら危なかったわ……」

『心配するこっちの身にもなってほしいわ……全く、私が居ないと…「そういや雛苺がさ、」……っ!』

「毎日ここに来てたらしくてな。別に大丈夫だっつってんのになー。…あん?どした?」

『…………んーん!そりゃ雛苺はあんたを一番に考えてるんだから当然でしょ!もっとしっかりしないとダメよ!泣かせたら叱っちゃうんだから!』

「へーへー。あ…」ニヤリ

『ん?』

「■だって心配して来てくれてたらしいじゃんか。一番に考えてくれてんの?」ニヤニヤ

『ーーーー!!』

「あ!ちょっ!まだそこは!ぐわーーーー!!」

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そんなの当たり前だ、心配してなにが悪いのか。
私は遅かったのだ。

雛苺に時間の変更したという嘘の伝言をしたのも私

ラッドの目覚ましを止めたのも私

出掛けるというのは影から聞いていた

ラッドが運び込まれた時に最初に診療所に居たのも私。
雛苺は親の手伝いをしていて遅れただけだけど。

年が経つにつれ、醜い嫉妬心が私の精神を侵していく
あの時、皆が光に呑まれて行くときも…絶望したラッドに寄っていこうとしたあの時…雛苺がラッドを庇って光に呑まれた光景を見たとき…絶望でも悲しみでもなく…これでやっと私だけを頼ってくれると思った。
思ってしまった…
私はその場で崩れ落ちて泣いた。
ラッドに寄り添うこと事もできずに泣いた。
どうして…私を見てくれないのか
どうして…私を頼ってくれないのか



ーーこれが私への天罰なの?

見上げると光が見える。
あ、ラッドが気づいた。
馬鹿ね、そこからじゃ間に合うわけないじゃない。
ごめんね?
目があったラッドに笑いかけると、ラッドがこっちに向かって駆けてくる。
すごい顔…全く…ラッドはダメダメね?私が居ないとダメなんだから!
仕方ないわね!








これからはもっと私に頼っていいんだから!






そして光の柱が落ちた。

このページへのコメント

・・・冥府を持つ貴女達の眠りが、安らかである事を。
そして、ラッドさんとの日々が手向けと成る事を。

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Posted by クロマツ 2016年12月28日(水) 22:58:13 返信

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