―――我々こそが世界を統べるに相応しい。
これは傲慢ではない、純然たる事実だ。
                 by名も無き竜

 遥か古代、人類が生まれる以前。既にその場所は竜の支配下にあった。
竜は強く、賢く、美しかった。また、生粋の不死身だった。それ故人類は初め為す術もなく囚われ、隷属の身となった。
しかし、竜は直接統治をしない。彼らは自身の奴隷にそれを任せる。人類が囚われたのもその為である。
その為、人類の中には格差が出来上がった。つまり、支配層と被支配層である。しかし、支配層は単に幸運ではない常に竜から疑惑の目を向けられ、統治能力に問題があると処された。長い間このようにして世界は統治され、福音と惨禍が響き渡った。

―――革命だ!
あの傲慢で鼻持ちならない竜共に鉄槌を!
                 by名も無き人間

 ある時人が『力』を手に入れた。その力は竜の力を封じ、不死身を貫いた。その為竜は今迄の態度を一変させ、極めて慎重になった。
だが、人類は破格の勝利を重ね、趨勢を自らに傾かせた。更にその現状に憤慨した竜は真の支配者を名乗り反乱を起こした。
それだけではなく単に議会での決裂や不和も重なり竜は人類に敗北を喫した。だが、竜の中にはその後もレジスタンスとして抵抗を続けた者もいた。
しかし、そのどれもが不発か失敗に終わった。結果として生き残った竜たちは人の栄華が終わるまで待つという結論に達した。

―――彼らは戻ってくる
それまでに私達ができる事は山の様にある。
                 by竜の奴隷達

 人類の文明は発展を続けた。それに随って古くから人類と共にあった強大な力を持つ者は次々と去って行った。それでも幾人かは残り守護を続けた。
竜の奴隷達は竜議会の話を聞き、文明の陰で時に表で活動を続けた。全ては竜へ捧げる為に。人類の守護を行っている者達もこれを阻害する者はいなかった。
何故なら彼らはことさら人類を害そうとはせず、寧ろその発展に寄与したからだ。

―――過ぎたるもので身を亡ぼすのは人も竜も変わらない。
竜にとってそれは力で、人にとっては技術だった。
                 byある学者

 あらゆる大地と大気は毒に浸され凍えた。その原因は様々に言われるが、総じて人間である。ここに至って人類を守護する者は限りなく減少した。彼らは人類を愛すのではなく自らの被造物が他の物を圧倒することや美しい世界で歩き回る事に喜びを覚えたからだ。それ故世界を汚し惨めに呻き声を上げる様な愚かな生き物に喜びを感じはしない。そして仮に自分たちを呼び寄せるようなら処罰することを決定した。だが、彼らは呼び出され、自然は回帰し、人類は処罰されている。これは竜の奴隷達による遠大な計略だと囁かれることがあるが、それは異なるだろう。彼らはそんな危険を冒す必要などないのだから。

―――勘違いだ!
私がどうして彼らにそんな事を命じなくてはならないのだ
                 byラケル

ある古い城で椅子に座った幽霊がチラシを見ている。
『方舟か、乗ってみようかな?このまま待つだけというのも退屈だし』
彼女は退屈していた。進めるべき研究は幾つもあるが、偶には息抜きをしたいものだ。研究自体も楽しいが、それ以外の事もしたくなる。肉を食べたら野菜を食べたくなるような話だ。
『それにしても奇妙な形だね、流行っているのかな?まぁいいや、乗ろう』
椅子に座りながら屈伸をして決めた。そう決めてからは迅速であった。ある程度の荷造りをし、しばらく出かける事を言って出かけた。
『私の冒険はこれからだ!』
そうして彼女は方舟に向かった。

このページへのコメント

作成お疲れ様でした!
大きい、強いというのも、
それ故の困り事がある物ですね。
勘違いだ!にくすっと来ました。

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Posted by クロマツ 2016年09月14日(水) 20:30:06 返信

壮大過ぎていまいちピンとこねぇなぁ。人間の俺からしたら。

作成お疲れ様でした。

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Posted by 安藤竜 2016年09月14日(水) 18:41:50 返信

作成お疲れ様でした!
違います、そのデザインは流行っていませんからね!

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Posted by ゾディー 2016年09月14日(水) 18:31:04 返信

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