見兎です、今日は月が綺麗だから考え事をしようと思います
考えるのは私の悪い癖かな、あいつのこと強く言えないね



『なんで君は男の子なのに女服なの?』

「それは私が人造巫女だからなんだ!」

『私にはよく分かんないや、それで君の名前は?』

「私は斎賀 片羽だよ、君は?」

『私は柏葉 見兎、よろしくね』

これが彼との初めての出会いだよ
6歳のころに村に来て一緒に暮らすことになったんだ
最初は女の子の服を着てることが変だと思って心無い言葉をぶつけちゃったな
対してあいつは私の姿を見ても特に驚いてなかったんだ
背中の火傷は見えないとはいえ顔には大きな傷があるのに…あいつは昔からマイペースだったんだね



『弱P弱P→弱K強P  瞬獄殺』

「やめて見兎!私が何したっていうのさ!」

『乙女の柔肌を見てその態度はないでしょ!どれだけ私が傷ついたと思ってるの!』

「私は気にしてないから安心してよ、それに女の子の裸なんて銭湯とかで見慣れてるし」

『遺言はそれでいい片羽?いや、聞くまでもなく今のを遺言にしてやる、死ね』

あのさ、好きな人に裸を見られて平気でいられるわけないでしょ
この時私がどれだけ恥ずかしかったかも知らずに平気でこんなこと言うんだから有罪だよ有罪、片羽のバーカ
私が女として見られてないっていうのはちょっと傷ついたけどいつか振り向かせて見せるからね!



「見兎の嬢ちゃん頑張れよ、おじさんは応援してるからな!」

『ありがとう、それに言われなくても私は頑張るよ!』

「違いねえ!見兎嬢なら大丈夫だっておっさん信じてるよ、渾身の作品を持っていきな!」

はい、結婚指輪です
もう1度言います結婚指輪です
まだ付き合ってもないだろとかいう野暮なツッコミは禁止!した奴は私が殴る蹴るの暴行を加えてやる!
もうすぐあいつが18で結婚できる年齢になるしさ、いっそ告白するぐらいならプロポーズしようって思ったの
いやまあどこが好きかって聞かれると困るんだけどね、強いて言うなら全部かな?
劇的な事件もなくただただ過ごす日常の1コマ全部が愛おしくてさ、一緒にいるだけで幸せなんだから仕方ないよね



空を見上げると月の表面には兎が見えててとても綺麗だったんだ
こんな夜に二人きりで兎を見るなんてロマンチックだな、なんて

『月が綺麗な夜には私を探して歩いてくれないかな?
 ほら、片羽が趣味でやってる散歩のついででいいからさ』

今にも死にそうなのに不安感がなくて私自身びっくりしたよ
もっと生きたかったとかプロポーズしたかったとかあるのになんでだろうね?
多分きっと好きな人といるからだと思う、好きな人と2人で月を見て触れ合ってたらそりゃ幸せだよね
やっぱり私はどうしようもなくこの男が好きで、そんな幸せなまま死ねるならまあ悪くない終わりかなって

『うん、ありがとう
 好きな人の背中で死ぬっていうのも案外悪くないかな…おやすみなさい』

おやすみなさい片羽、私の最初で最後の好きな人
.

このページへのコメント

・・・・・・・・・報われない恋ってやつはどうしてこうも辛いのかね。。

作成お疲れ様です。

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Posted by 安藤竜 2016年09月21日(水) 02:23:58 返信

 切ない様な、甘酸っぱい様な。
・・・ごちそうさまでした。

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Posted by クロマツ 2016年09月21日(水) 02:16:45 返信

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