【R-18】シュテルとシュルクは遭難した島で貴方たちと生活するようです【安価・あんこ】 - 生きる意味R18G
「お主は生きろ、我々は神に殉じる」

 部族の長はコレまで必死に部族を守っていた戦士の生き残りの少年にそう、告げた
少年の部族は信心深い部族であった
だから神が今の世界をリセットすると決めた時、考えた末滅びに身を任せる事にした

 少年はそれが認められない



「ごめんね、おねぇちゃんは貴方といったら足手まといにしかならないと思うの……だけど貴方はいきなさい、ホルス」

 家族とは涙ながらに別れた
最後に残った姉は戦士でもなんでもなかった……強行突破は出来ない
だから、彼女は残った……形見の櫛だけが残った



「アイツはこねぇぞ……代わりに伝言と餞別を持ってきた」

 旅立ちの日巫女である恋人は来なかった
来たのは鉛色の目をした彼女の父親の刀鍛冶と……「彼女に良く似た色合いの刀が一本」
伝言はただ一言「生きて」
巫女である彼女は説得なぞできなかった……



 羽が落ちる様に里からの強行軍で友は欠ける
それでも生きる
泥水をすすり、友の死骸を喰らって糧として進む
生きる……何の為に?何も止められなかった、守れなかった自分は何の為に?
最後の一人になっても這ってでも進む
……生きる事に理由なぞ要らず、生き抜く為に生きる
それでも託された意思がこの胸にある

「いきなさい」



 目指すは箱舟、生き残れる可能性のある最後の救い
鳥人ホルスの生きていた断片の話である