【R-18】シュテルとシュルクは遭難した島で貴方たちと生活するようです【安価・あんこ】 - お祭り男と空飛ぶジジイ
とある森の中、一人の男が歩いていた。

「今日もたくさん魚を釣るぜぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

近くの村に住む彼は、この森に遊びに来ることが多いのだ。
今日もいつも通り湖に向かっている途中であった。



「おーい、そこの少年。」

ふと彼を呼ぶ声が聞こえる。

「ん?誰だぁ?」

声の方向に目を向けると、そこには老人がいた。
いや、正確には老人が『宙に浮かんで』いたのである。

「……………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!じーさんが飛んでるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?!?」

彼は驚愕していた。今まで見たことのない光景がそこにあったからだ。

「ほっほっほっ、そこまで驚くようなことかのう。」

「アンタいったい何モンだぁぁぁぁぁぁ!?」

「わしか?わしはのぉ…」


「仙人じゃよ!」



仙人を名乗るその老人はその後、彼の質問攻めに対して丁寧に答えてくれた。
何故空を飛べるのか?どこから来たのか?外の世界とはどのような場所なのか?
創造神と人の争いとはなにか?大災害によってどれだけの被害がでたのか?
今まで村の中だけで暮らしてきた彼にとって、老人の話は衝撃的なものであった。
そして話が一通り終わったとき―――――

「決めたぁ!俺ぁ村を出るぜぇぇぇ!!世界を旅するんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

彼は決意した。外の世界に旅立つことを。

「そうかそうか。だが外には危険が溢れておるぞ?」

「ヤベェのはわかってるぜぇぇぇ!!!でもよぉ、こんな話を聞かされちゃジッとしてらんねぇ!」
「困ってる奴や苦しんでる奴がいるなら助けてぇ!みんなを笑顔にしてやりてぇんだ!」

「そうか、ならばその情熱を胸に世界を生きるがいい。」

老人は満足そうな笑顔で答えた。

「おう!………そういえば、」

ここで彼は疑問に思った。聞かされた話とこの故郷ではあまりにも違いがありすぎるということを。
その質問に、老人が小さな声を漏らす。

「この周辺は外の世界と隔絶しとるからのう…。」

「?」

「あれじゃよ、田舎すぎて創造神も気がつかなかったんじゃろうて。」

「そうかぁ!そういえば村以外で人を見かけたのじーさんが初めてだったな!」

彼はその言葉に納得し、それ以上深く考えなかった。

「よっし!早速村に帰って旅の準備すっかぁ!」
「じーさん!いろいろ話してくれてありがとぉぉぉぉぉ!!!またどこかで会えたらよろしくなぁぁぁぁぁ!!!」

村に向かって全速力で走りながら、彼は老人に別れを告げた。



「…人の子よ、可能性を示せ。然すれば道は開かれん。」

ポツリと老人が呟くと、一陣の風が森の中を吹き抜ける。
風が収まったとき、そこにはもう誰の姿もなかった。